音声チックの為の呼吸法の検証について

約1年くらいかけて音声チック(叫び声・汚言症・反復言語等)の改善方法である『呼吸法』について検証を行ってきました。

最初は私自身の音声チックを改善させ、その後複数名の当事者の音声チックを改善させてあげることが出来ました。

呼吸法といってもいくつか種類があり、個々に何がベストなのか?万人により効果的な方法はないか?など試行錯誤して参りました

その日の体調や神経の状態によってベストな呼吸法は微妙に異なる為、私自身の体で検証するにあたっても非常に苦労をしましたが、ようやくまとまった形が見えてきました。

これまではマニュアルに記載されている簡単な方法、いくつかのポイントを投稿してきましたが、その他の明確でなかった部分に関しては投稿しておりません。

呼吸法には実は重要なポイントがいくつかあります、その明確でなかった部分が大切だと感じており、皆様にお伝えしても問題ないレベルまである程度解明する事が出来たと感じています。

現在進行形で多くの当事者に認知行動療法(呼吸法も含む)のセッションを行っております、その子達の音声チックもしっかり改善させてあげる事が出来たならば、呼吸法のマニュアルを公開しようと思っています。(運動チックの対処法も)

そして皆様に誤解のないよう一つ知っておいていただきたい事がございます。

チック・トゥレットの包括的認知行動療法(呼吸法・ハビットリバーサル/CBIT)はチック・トゥレットを治癒させるものではありません、様々なチック症状に対して有効に対処するスキルを患者が身に付けるものだとマニュアルにも記載されています。

つまり、チック症状を『管理』『コントロール』する事で、発症するチックを軽減させる方法だと私は認識しています。

ハビットリバーサルの拮抗反応をもっともっと行えば、チックがより軽減するのではと思われる親御さんも多いかと思いますが、チック・トゥレットの根本的な原因が改善されていなければ残念ながら完治はありません。

お子さんであれば大概の子が大人になる頃までにチック症状が自然治癒、若しくは生活に支障のない程度まで軽減していくと言われています、それまでチックと上手に付き合っていく方法の一つであり、多かれ少なかれチック症状を軽減させてあげる事が可能です(様々な理由により満足のいく効果を得れない場合もあります)。

これまでの当会のセッションを踏まえ、私見を述べさせて頂くと、チック・トゥレットの包括的認知行動療法により、悪化した症状を穏やかなベースの状態に戻してあげる事が可能なのではと、つまりこのスキルを身に付けることにより、いくらかの悪化を防ぐ事が出来るのではないかと思っております。

しかし論文にもあるように、中軽症の方には比較的有効な場合があるのですが、重症者や、やや症状の重い方の場合、そもそもの前駆衝動が強過ぎる為コントロールが難しい場合や、拮抗反応を日常的に行うこと自体がストレスになってしまう場合もあります。

何れにしても呼吸法並びに認知行動療法は有効なチックの対症療法の一つ、トゥレット当事者会では当事者自ら又は親御さんと一緒にそれらを実践出来るよう引き続きサポートして参ります。

次回は認知行動療法で満足のいく効果を得られなかった場合はどうしたらよいのか?

季節の変わり目は体調を崩しやすくなります、体調が崩れるとチックにも影響する可能性があります、くれぐれもお身体ご自愛くださいませ。