❶チックへの認知行動療法(CBIT/ハビットリバーサル・呼吸法)を受けてみようと思った理由を教えてください。

〈当事者〉今まで行ってきた鍼治療や栄養療法での効果があまり感じられず、これらとは異なる治療方法を試してみたいと思ったため。

〈母親〉今まで、診療内科や整体に通い、中国鍼治療、漢方、栄養療法など様々なことをしてきましたが、チックへの効果は感じられず、いろいろネットで調べるなかで、行動療法を知り、トゥレット当事者会のCBITにたどり着きました。CBITの説明や体験談を読み、もうこれしかないと思いCBITをお願いしました。

❷セッションを受ける前ご不安だったことなど何かございますか?

〈当事者〉行動療法は鍼治療のように体に刺激を与えるようなものでもないため、これを行って本当に効果があるのだろうかと思った。

〈母親〉毎日のトレーニングが必要ということだったので、めんどくさがりの息子が続けられるかどうかという不安と、今まで鍼治療などに高額は治療費がかかっていたので、本当に無料でやっていただけるのかと不安に感じていました。

❸セッションを受ける前のチックの種類や状態を教えて下さい。

〈当事者〉無意識に首を左右に動かした、回したりするような症状。頻度は大体5分に一回とか?ひどいときはそれ以上。

〈母親〉横に小刻みに振るチックから始まり、セッション前はぐるっと大きく首を回すことを繰り返していました。チックが終わり、次のチックが始まるまでの間隔はひどい時で30秒くらい。緊張している時、リラックスしている時関係なく、絶えず首を振っている状態でした。回しすぎて首の痛みと頭痛はいつもありました。

❹セッションやホームワークではどの様なことを行いましたか?

〈当事者〉チックが出る前に自分自身でそれに気づけるようにするトレーニング。チックが出そうになった時に首を下げてそれを阻止するトレーニング。心拍数とストレス値の測定(呼吸法)。

❺セッションが終了した現在のチックの状態を教えて下さい。

〈当事者〉授業中のような普段よりも緊張した状態の時でもチックを止めることができる。チックを止めることで首の痛みも少し軽減したため回数も減った(セッション開始前より首振りチック8~9割減)。

〈母親〉今までのように頻繁に振ることはなく、たまに前駆衝動がきても拮抗反応で止めることができます。完全に首振りがなくなったわけではありませんが、衝動自体も減りました。

❻チックへの認知行動療法の感想を教えて下さい。

〈当事者〉行動療法を行う前は首を振り始めてから一定時間は振り続けていた。というのも途中で首振りを無理にストップすることがいけないことのように感じていたから。今回のセッションで首を振り出してからも止められるのなら止めなければならない、チックが出ると自分自身で分かるのならそれは止めなければならないという大前提のようなことを教えられた。

自分自身の考え方を見直すことができ、この考え方を知ることができたことが今回のセッションでの一番の収穫であったように私自身感じる。行動療法を行い始めたころは、首振りが止まらない時もあったが意識的に止められるよう実践していくうちにチックを意識的に止めることができるようになりチックの頻度が減ったように感じる。

〈母親〉今までいろいろな所に通いましたが納得のいく治療は受けられず、チックの辛さを理解している先生にも出会えず、このままどうすることもできないのかと思っていたところ、CBITに出会いました。始めてチックの辛さを理解してくださる先生に話を聞いていただけたことで、今まで受け身だった息子が自分のチックと向き合い始めました。自分でなんとかしなければいけないこと気づきチックに立ち向かうことができました。

私は今まで、首振りを指摘したり、止めようとさせたりすることはタブーだとずっと思っていました。自ら
衝動を感じ、その衝動を別の動作で自ら止める。自分の意思で治療することができるなんて思ってもいませ
んでした。行動療法を教えていただかなければ、一生首振りと首の痛みで苦しんでいたと思います。先生には本当に感謝しております。

❼チックには様々な治療法がありますが、認知行動療法はどの様な方にお勧めですか?

〈母親〉年齢問わず、チックで苦しんでいられる方、いろんな治療法を試したが効果が感じられなかった方、すべてのチック症状の方にお勧めしたいです。