❶チックへの認知行動療法(ハビットリバーサル・呼吸法/CBIT/ERP)を受けてみようと思ったきっかけを教えてください。

以前、大阪でマウスピース治療をしていたのですが、丁度コロナ禍になってしまったのと(神奈川県に住んでいる為)、長男の歯の生え変わり時期にも重なってしまい作って頂いた物が合わなくなってしまいました。マウスピース治療のお陰で少し落ち着いていたチック症状(音声)がマウスピースをしなくなると酷くなってしまい、遠方の為直ぐに作りにも行けずどうしよう・・・とネットで色々と探していたところ、ブログに辿り着きました。そして丁度その頃、オンライン交流会が開催される事も知り出席させて頂きました。その時に色々な方のお話を聞く機会を頂き、更に色々な事を知ることができました。その事がきっかけで息子と話し合って認知行動療法を試してみようということになりました。

❷認知行動療法を受ける前のお子さんのチックの種類や状態を教えてください。

【音声チック】

(ターゲットにしていたもの)
・『うんうん』という唸り声のような声
・強い鼻息を『フン!フン!』と出す(鼻フンフン)
・咳のようなチック

(ターゲットにしていないもの)
・何かを話す前に大きな声で『あっ!』と言う
・『い~い~』・『でぃ~でぃ~』など、とにかく多様な症状が出ていました。
(※ターゲットにしていない音声チックに関してはセッションを行う前に軽減していました)

音声チックは酷い時には5秒~10秒のうちに数回出ている状態なので、常にどれかしらの音声チックが寝ている時以外ずっと出ている感じでした。特にセッションを受ける以前に酷かった音声チックはターゲットにしていたものだけでも私が二階、息子が一階にいても大きく聞こえる大きさでした。(ターゲットにしていない『あっ!』が音声チックの中でも一番大きな音で普段の話声が3だとすると8~10です)

【運動チック】

(ターゲットにしていたもの)
・みぞおち辺りをベコン!と勢いよく凹ませる腹圧チック
・くねくねと上半身(脇)を左右に振ってしまう脇チック
・座っていても歩いていてもお尻から太ももにかけてをギュ~と伸ばしてしまうお尻チック

この運動チックに関しても音声チックと同様どれかしらを一日中ずっとしているので、腹圧チックに関しては逆流性食道炎にも何回もなり、薬を服用していても酷いと食べられない時もありました。お尻チックも出すぎて攣ってしまったりすることもありました。

(ターゲットにしていないもの)
・音声チックの鼻フンフンと同時に鼻の前に手の甲を出して手の甲に鼻息をかける
・まばたきチック
・目をぎゅ~とつぶってしまうチック(体育の時や自転車に乗っている時に目をつぶってしまうので、ぶつかったりと危険な事も多いです。その為、現在は自転車に乗っていません)
・顔をクシャとする
・白目をむく
・眼球を上に上げる(逆の時もある)
この6つはターゲットにしていませんが、10~15分に1回はどれかしらの症状が出ます。
・頭を後ろに思い切り倒す
・頭を前にガクンと倒す
・鼻の下を伸ばすように口を大きく開けて眼球を上に上げる
この3つに関しては今は全く出ていませんが、小学3~5年生の間はどれかが治まると違う症状という感じでずっと続いていました。

❸セッションやホームワーク中のお子さんの様子を教えて下さい。

セッション中は谷さんのお人柄もあって終始息子もリラックス出来ていてとてもスムーズに楽しみながら行えたと思います。ホームワークについては、学校などでも積極的に教えて頂いた呼吸法や拮抗反応を行い本人も頑張っていたと思います。ですが、一方で息子の場合、特に音声チックに関して前駆衝動に気がつけるものと、なかなか気がつけないものとがあり、特にゲーム中や勉強など何かに集中すると一気に気がつけなくなってしまう事が多くありました。なのでアウェアネストレーニングでも何もしてない状態の時にはほぼほぼ気がつけている音声チックに関しても、敢えてゲームをやりながらのアウェアネストレーニングにすると殆ど気がつけない・・・それの繰り返しでした。その為、本人のモチベーションを保てなくなったりしたこともありました。ですが、根気強くアウェアネストレーニングを何度も何度も続けていくうちに敢えてゲ
ーム中の状態で行ったアウェアネストレーニングでも気がつける様になりました。

❹セッション期間中、お子様のチックがどの様に変化していったか教えてください。

息子の場合、とても多くの症状があります。なので特に本人が気にしているものや、目立つもの、本人が困っているものをターゲットにしてきました。ターゲットにしていたものに関しては、呼吸法や拮抗反応を行うことで母親の私が見ていても驚くくらいに音声・運動チック両方の症状が減っていき、特に運動チックである腹圧チックは本人も逆流性食道炎になってしまっていたので、その腹圧チックが止まった事がとても嬉しかったようです。お陰さまで現在は逆流性食道炎のお薬は服用していません。

❺現在のチックの状態を教えてください。

ターゲットにしていた音声チックに関してはアウェアネストレーニングで気がつけたものに関しては殆ど生活していく中では支障ないくらいになりました。咳チックに関しては現在は0です!他の音声チックはセッション前が10だとすると良いときだと1~3です。(息子の場合、天候などにも左右される様で多少酷くなる時はありすが、セッション前を10だとするとセッションを行ってからは酷くても5~6です)運動チックに関しては一番辛かった腹圧チックが今は0です!お尻チックも今は0です!脇チックは出ても1~3といった状況です。一方、音声チックの症状で今までに出たことが無かった初めての症状で「甲高い引き
声」がセッション終了後とても大きくなってしまい現在かなり声としては大きな声が出ていますが、これだけがどうしても気がつけない様子です。なので今、アウェアネストレーニングを一生懸命頑張っている所です!

➏チックへの認知行動療法を受けたお子さんの感想を教えてください。

最初は自分で止める事が出来るのか不安だったけど、空いた時間や学校などで少しずつ呼吸法や拮抗反応をすることによって、少なくともチックが以前よりも改善されてとても良かったです!谷さんが凄く優しく教えてくれて、自分の為に動いてくれている事も感じていたので、自分も頑張ろうと思えたし、日々のホームワークも安心して頑張れたと思います!たまに思うように出来ないとイライラしたり心が折れそうになった事もあったけど、毎週谷さんに色々な事を教えてもらえたので安心したし、心の励みになりました!これからも僕みたいに困っている人の為に頑張ってください!ずっと応援しています。本当にありがとうございました。

❼チックへの認知行動療法を受けたお母様の感想を教えて下さい。

今回、このような認知行動療法を受ける機会を頂き、谷さんには感謝してもしきれない気持ちでいっぱいです。実際に行ってみて思ったのは、息子の場合、アウェアネストレーニングで気がつける様になるまでが時間が掛かり、本人も思い通りにならなかったりとモチベーションを保つ事もそうですが、本人のやる気を維持させる事がとても大変に感じました。

ですが日々のホームワークをやっていく中で、前駆衝動に気がつけると呼吸法を症状に合わせて短くしてみたり長くしてみたり、拮抗反応に関しても自分で調節しながら日々こなしている様子を見ていて、上手にチック症状をコントロールできるようになり、チックの音声よりいつしか私の喘息の咳の方が目立つくらいになりました(笑)拮抗反応については息子の場合、数回行っただけで前駆衝動が殆ど起こらなくなり運動チックに関しては現在は殆ど目立たなくなったと思います。

実は今回、日々息子のチック症状と向き合う上で驚いたことがありました。それは、私が(他人が)気になる症状=息子が気にしている症状ではないということでした。今、新たに出ている甲高い引き声が実は今まで出ていた中で一番目立っていた『あっ!』という音量に近い状態になってるんです。しかし、本人は全く気がついていないんです。ですが、これもきっと学校ではとても目立つものの一つになると思います。なので、今、本人と相談の元、やはりできれば気がつける様になりたい!ということで、一緒にアウェアネストレーニングに励んでいる所です!

今回、認知行動療法を受け本当に良かったなと思った事は、呼吸法や拮抗反応を含め色々な症状に合わせて行う事で、普段の生活が楽になるのが目に見えて感じられたことでした。そして何より、セラピストの方が谷さんで本当に良かったなと心からそう思いました。谷さんのお人柄もそうですが、やはり当事者でないと分からない事が多いと感じていたからです。どんなに息子のトゥレット症を理解してあげたい!そう思ってもやはり前駆衝動も含め自分には無い症状なので理解してあげられない・・・。でも、同じ事で悩み苦しんできた谷さんだからこそ説得力もありましたし、息子を心から理解して頂けたことも含め、これらの経験は息子にとって大きな宝物になったと思っています。そして谷さんとの出逢いそして教えて頂いた認知行動療法が今後の息子の支えになると感じています。

トゥレット症やチック症を持ったお子様の親御さんはとても不安が大きいと思いますが、谷さんに不安な事など色々とお話を聞いてい頂けた事は親の私にとってもこれからの心の支えになりました。そしてどんな質問をしても直ぐに答えて下さる安心感と共にとてつもない知識があるのがお話をしていて分かり、息子共々尊敬しておりましたし、そんな谷さんと出逢えたこと、とても嬉しく思っています。お忙しいところ、本当に長い期間ありがとうございました。心から感謝致します。

❽チックへの認知行動療法の効果をどの様に感じられました?

認知行動療法は呼吸法や拮抗反応を含め色々な症状に合わせて行う事ができるので、上手にコントロールできるようになると普段の生活の質が向上するように感じました。現に、息子の腹圧チックが完全に無くなり、生活の質が上がっています!息子の様に前駆衝動に気がつきにくいタイプのお子さんは、アウェアネストレーニングに苦戦する方もいるかも知れませんが、全てにいえることだと思いますが、何事もやってみて損はないと思います!今は出来なくても原理を理解し、やり方さえしっかりマスターしていれば大人になった時に気がつけるようになる可能性もあるのかな?と谷さんの説明を聞いていてそう感じました。

❾チックには様々な治療法がありますが、チックへの認知行動療法はどの様な方にオススメですか?

息子もそうなのですが、薬物療法を取り入れてはいますが、最初のうちは体質に合わない薬を服用してしまい、副作用などが強く出てしまったことがあり、足が動かなくなる事もありとても怖い思いをしました。ですが、この認知行動療法は副作用などはありません。なので、薬物療法などで副作用が出やすい方などは特におススメだと感じました。

❿最後にチック症トゥレット症でお悩みのお母様方は大変多くいらっしゃます、その様な方にお伝え出来る事がもしあれば、ご記載お願いいたします。

息子を見ていて思う事は一番苦しみ悩んでいるのはやはり本人です。そんな事は百も承知の上ですが、チック症やトゥレット症があるお子様と日々向き合っていると、日々変わる症状・・・良くなっては悪化の繰り返し・・・そんな子供を見ていると親であるがゆえに苦しむ事・悩む事・不安も多くあると思います。

ですが、今回この認知行動療法を通じて思った事は、親がどんなに心配しても苦しんでも、どんなに良い治療法も本人が強く治したい!そう思う気持ちが無いと難しいという事です。しかし、本人が治したいと強く望み頑張った後に成功や結果がついてくるとも限らない。そして成功や結果が全てでは無いという事です。そしてどうしても、側でみている親の立場からすると一喜一憂してしまう自分がいて、悩み困っているのは自分の方なのではないかな?と思う場面も多々ありました。

セッションの最終日に谷さんが息子に『今、困っている事はない?大丈夫?』と聞くと、息子が『困っている事は何もありません!』そう言ったんです!私からすると『えっ?!!本当に?新たに加わったこの甲高い引き声は困ってないの?』と実はかなりの衝撃でした(笑)困っているのは日々、音声チックの声が気になっている私の方だったからです。この様に子供の困りごと・悩みごとは、私(親)とイコールでは無いんだ!という気付きを頂いたような気がしました。

ですが、実際問題、この甲高い引き声はきっと学校に行ったら息子の事を理解はしてくれているものの周りは気になると思いました。なので、その事を素直に息子に伝えたところ、『自分が気付けていない声も気付けるようになりたい!』そう言って、一時期はやる気を失っていた息子が自ら『アウェアネストレーニングやって!』と言って来る様になりました。

チック症やトゥレット症でお悩みのお母様方は『これ言っても平気かな?』『言わない方が良いかな?』そう悩まれている方も多いのかな?と思いますが、自分が息子の為に感じ思った事は素直に話してみる!チック症状についても本人の様子を見ながらが基本だとは思いますが、沢山コミュニケーションを取ること!がお互いの為にもストレスを溜めずに良いのかな?と感じました。チック症やトゥレット症のお子様をお持ちのお母様達は一人悩む事が多いかも知れませんが、一人ではありません!いざとなったら強い味方の谷さんもいます!(笑)なので前を向いて頑張って行きましょう!!息子の事が誰かの参考になれば良いなと思い、長々と書いてしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。