❶チック症状への認知行動療法を受けてみようと思った理由を教えてください。

5歳頃に初めて首振りチックが出現後、時期は不定期で咳チックやまばたき、顔しかめなどがたまに出ては治まりを繰り返していました。当時は特に日常生活が困るほどではないものでした。しかし小学校1年になってから首振りチックが長く続き始めたため、小児神経科に継続通院しはじめましたが薬剤の服用だけでは全く改善せず、小学2年生の夏休みの終わり位から首振りチックが悪化しより大きな動作になってしまいました。あまりに首を振り回すため、食事中に机に頭をぶつけてしまう位になったのが薬剤服用以外での治療方法を探すきっかけです。そこで私(父親)がトゥレット当事者会をネットで見つけてCBITのセッション対応を頂けることについて知りました。

❷セッションを受ける前ご不安だったことなど何かございますか?

薬剤服用だけでは投薬量を増やしても全く効果を感じれていなかったので、認知行動療法で少しでも症状が改善するのか?という効果面が心配でした。

❸セッションを受ける前のお子さんのチックの種類や状態を教えて下さい。

セッション開始前からチックの種類も変化していきましたので主だったものを記載します。

・セッション受講前

①単純運動チック 首を傾げたり、首を上下に振る、酷くなると振り回してしまう症状チックが出やすいテレビゲームやスマホ使用中、食事中では軽いものも含めると1分間に10回位出ていました。特に首チックは長期継続しており本人も一番困っていました。

・セッション開始後に強めに出現したチック

②単純運動チック 指に力を入れ強く曲げる動作(特に右手の中指が多かった)スマホゲーム中や鉛筆を持つとき、箸をもつ時等指先を使おうとする際によく出現し、1分間測定で6回程出ていました。

③単純運動チック 手首を1回転くるりと回す動作(両手首とも)食事中に特によく出現し(20分ほどの食事で15回程度)お箸でつかんだものを飛ばしてしまうこともありました。

④単純運動チック 肩の肩甲骨をゴリゴリと回すような動き

⑤息を大きく吸い込むチック、食事中が特に酷く1分おきくらいに出る指や手首チックと比べると頻度は高くありませんが、こちらもゲーム中によく現れる印象でした。

❹セッションやホームワークではどの様なことを行いましたか?

まずはチックが出そうになったら、そのムズムズ(前駆衝動)に気づくアウェアネストレーニング練習(指上げ)を行いまいした。その後拮抗反応を行うことを繰り返し教えていただきました。後半では、深呼吸、漸進的筋弛緩法の練習も行いました。

❺セッションやホームワークを行っている時のお子さんの様子を教えて下さい。

まだ年齢も幼いため、まずは短い時間から、親が少しづつ取り組める環境を調整することが大事だったかと思います。きっかけを与えることで毎日続けることができていたと思います。後半では深呼吸や心拍測定にも取り組んでいたのですが、上手くできることを目標に、自ら進んで取り組めるようになりました。

❻主要セッションが終了した現在のチックの状態を教えて下さい。

上述のようにセッション前からセッション中を通じて、色々なチックが現れ時々で一番困っていたチックも異なりますが、現状は首を傾けるチックが少し出ている位です。頭をぶつけそうになったり日常生活で極めて困るような状況ではありませんので、目立たないようなレベルで維持できるよう拮抗反応は続けています。

❼セッションをお受けになられたお子さんの感想がもしあれば教えて下さい。

子供にもわかりやくすく説明してくれたので本人も理解しやすかったようです。大変だったことは、やはり毎日トレーニングをしなければならなかったことのようですが、本人もチックの症状で困っている認識があったため、一生懸命治したいという気持ちでこのセッション期間を頑張ってきたようです。トレーニングで可視化・数値化することで変化もとらえやすく、改善点も目に見えて分かりやすいと続けるモチベーションになるかと思いました。

❽チックへの認知行動療法に対する親御さんの感想を教えて下さい。

幸い息子にはアウェアネストレーニングが非常に有効で、意識をするだけでも対象のチックが大きく減少したため親としては大変驚きました。本人も薬ではどうにもならなかった点が改善し、トレーニングを続ける大きなモチベーションになったのだと思います。一方、親自身の反省点としては、不安や緊張、興奮、疲労などが誘因でチックが悪化することを知っていながら、冬休みに長時間のゲームを許してしまい治まっていた首のチックを再び悪化させてしまったことです。ゲーム時間を再度しっかり管理することですぐに改善しましたが、小さなお子様の場合は親が環境調整してあげることも大事なポイントだと思います。

❾チックには様々な治療法がありますが、チック症状への認知行動療法はどの様な方にお勧めできますか?

お勧めということではないのですが、アウェアネストレーニング・拮抗反応はセッションを受けることはもちろん、自宅・家族で毎日継続的に行うことが重要なため長期間に渡ってやり続ける意思・覚悟が大切だと思います。

❿最後にチック・トゥレット症でお悩みの親御さんは大変多くいらっしゃます、その様な方にお伝え出来る事や、アンケートにない内容で、お伝えしたい事がもしありましたらご記載をお願い致します。

こちらのサイトを訪問している方は、様々な治療法を試し藁をもすがる方も多いと思います。全ての方に完璧な効果はなかったとしても、アウェアネストレーニング、ハビットリバーサル、呼吸法、漸進的筋弛緩法のやり方等について選択肢として知っている・対処できるオプションを持つことは子供自身・家族にとっても重要なことだと思います。また私の息子の事例のように、優先度を高くして抑えたいチックの種類も時期と共に変化することもあると思います。そのためこちらの当事者会様の取り組みように、まずは相談できる環境をもって頂けるだけでも本人・家族共に大きな心の支えになると思います。