トゥレット症(症候群)当事者の一人暮らし

トゥレットの子は一人暮らしできるのか?

前回の投稿で説明した通り、トゥレット症といってもその症状の度合いはピンキリです。

一人暮らしの際に特に問題となりそうなチック症状は、大きな声の音声チックや、壁や床を叩いたり蹴ったりする運動チックではないでしょうか?

当然ながら、学校や仕事以前に、日常生活に大きな難がある場合は、一人暮らしなどもってのほかだと思います

逆に軽度のチック症状のみであれば、トゥレット症であったとしても大きな問題はないかと思います。

私自身の経験をもとにお話させて頂くと…

前述したチック症状のある方が一人暮らしをする際は、先ずは物件探しから慎重に行う必要があります。

第1に、音が隣接する部屋に漏れやすい木造物件は避ける、鉄筋コンクリート造など上下左右に音の漏れにくい物件を選んでください。

第2に、隣接する部屋が出来るだけ少ない角部屋を選ぶ。

第3に、奇声や大声の音声チックがメインの方は最上階を(声は上に響きやすいです)、床をドンドン叩いたり蹴ってしまう運動チックが多い方は最下階を、では両方のチックが頻繁にある方は2階建ての1階がテナント(コインランドリーや夜に人が居なくなる業態等)など住宅でない物件の2階などがオススメです。

その他には、床に絨毯を敷いて防音効果を、部屋の家具の配置を工夫する、隣がある壁の方にクローゼットや本棚、テレビラックを置き、ベッドやソファなど当事者の居住スペースは隣がない壁側にするなど。

全てを満たす物件が、希望する場所に必ずしもある訳では無いですが、窓をなるべく閉める、可能であれば隣人に挨拶をするなど物件選び以外にも出来ることはあるかと思います。

過去に音声チックによる騒音問題で、警察沙汰になってしまったという数名の方のお話を伺った事がありますが、そのような時もトゥレットを隠さず、ありのままを警察にお話することで理解を得れることが多いかと思います。

ある程度の年齢になったら、病気があるから、障がいだから仕方ないでは無く、私達当事者としても少なからずの、できる範囲での配慮が必要な場合もあると思います。

当事者によっては、チックを出しては行けないと考えるだけで、余計にチックが酷くなってしまう方もいらっしゃいます

事前に様々な対策を取ることで、チックを出しては行けないというプレッシャーから少なからず解放され、その結果チックが出にくくなることもあります。

これらは全て環境調整の部類に入る基本的なチックの対処法です、大人に限らず小さなお子様の場合も同様に、実家での部屋造りにも応用出来ると思います

賃貸でなければ、窓を二重サッシにする、部屋の扉を防音にするなど、費用はかかりますが、様々な対策を取ることで、お互いにストレスを減らした生活が出来るかも知れません。

病院で薬を処方して頂く以外にも、当事者ご家族自らができる、チックへの対処法はこれに限らず沢山あります、学校や職場へのカミングアウトが実は当事者のストレスを軽減し、その結果チック症状が穏やかになることも。

出来ない理由を探すのではなく、どうしたら出来る様になるのか?一人暮らしに限らず、学業や就業なども

チックがあっても、トゥレットであっても何かを諦める必要はありません。

自立への第一歩は、当事者を含めその周りの方も、少しでも過ごしやすい環境を互いに作り上げて行く、その中から生まれるコミュニケーションや、当事者のトゥレットに対する認識の変化、理解が大切なのかもしれません。