音声チックの改善方法である呼吸法って?

これまで呼吸法についていくつか投稿して来ましたが、そもそも呼吸法を行うと、音声チックが何故改善するのか?呼吸法の基本的なポイントと合わせて改めてご説明いたします。

その前に何故音声チックが出るのか?

私達チック症トゥレット症当事者は、当然ながら無意味に声を発したり叫んでいるのではありません

身体の何処かに前駆衝動(Premonitory urge)というモヤモヤやムズムズなど、何とも言えない違和感が存在します、音声チックの場合、前駆衝動は喉や胸にある場合が多いです。

前駆衝動自体は脳機能や神経伝達物質などの何らかの問題により生じているのだと思われます。

その違和感、前駆衝動を解消すために、当事者は音声チックを出します、無意識で出てしまう方もいれば意識的に出している方も。

幼児期や学童期の初め頃は、前駆衝動に気付けていない場合が多いのですが、成長と共に前駆衝動に気付けるようになる事が大半です。

しかしながら、音声チックを出したとしても、必ずしも前駆衝動は完全に解消される訳ではなく、解消されたとしても再びその前駆衝動が再発し、永遠とそれらを繰り返す、無限ループに陥るのです。

チック症状の事を詳しくご存知ない方は、どうしても出現しているチック自体に目が行ってしまいますが、実はその奥にチックの原因となる前駆衝動なるものが存在するのです。

その前駆衝動を音声チックではなく、別の方法で解消出来れば、若しくは前駆衝動自体を生じにくくすれば、私達は音声チックを出す必要がなくなる、または音声チックの出る頻度その強さが軽減します。

その方法のひとつが呼吸法なのです。

音声チックの前駆衝動を感じたら音声チックを出さずに呼吸法を行い、その衝動が鎮まるまで呼吸法を継続します。

一言で呼吸法といっても、そのやり方は様々であり、そして個々にその感覚は微妙に異なります。上手に出来ない場合は、クライアントにあった方法で指導する必要があります。

初めはなかなか上手くいかない、衝動がなくなるまで時間がかかってしまう場合もありますが、トレーニングを継続することにより、徐々にコツを掴むことができます。

日々呼吸法のトレーニングを行う事により、前駆衝動が発生する回数、その強さが徐々に軽減していき、呼吸法により前駆衝動を鎮める時間も短くなります。その結果音声チックが改善されます。

どの程度音声チックを改善出来るかは、各々に異なり、目立つ音声チックが無くなった方、全体的に半減した方、音声チックが殆ど無くなった方、コントロールが出来るようになった方など様々です。

最も基本的な呼吸法のやり方は、音(声)が出ている方からの吸気と、音(声)が出ていない方からの呼気で、出来るだけゆっくりと静かに深く深呼吸(腹式呼吸)を行い、最初は音声チックを出さずに最低でも5分間呼吸法を継続出来るようになりましょう。

例:口から「アッアッ」と音声チックが出ている場合は、口から息を吸い、口を閉じて鼻から息を吐く

鼻からゆっくり息を吐けない場合は口からでも可、但し息を吐く時に音声チックが漏れてしまわないことが条件。

しかしながら、慣れないうちは呼吸法を行っいる最中に音声チックが漏れてしまうことも

呼吸法を行っている最中に、音声チックが出そうになった時は、すかさず音(声)が出る方から息を吸い息を数秒とめ、その音声チックを制御(ブロック)します、この動作の事を拮抗反応といいます。

最初の5分間(5分間で前駆衝動がなくならない場合は更に呼吸法を継続)の練習で、上手に音声チックを出さずに前駆衝動を無くす、若しくは明らかに軽減させることができたら、次は1日30分間、音声チックの前駆衝動を感じる度、音声チックを出さずにその前駆衝動を鎮める呼吸法を行うトレーニングを、最低でも1週間毎日行ってください。

私がこれまでチック症状への認知行動療法(CBIT/ハビットリバーサル・呼吸法・ERP)のセッションを行った経験より思うことは

音声チックに限らず運動チック共に、ご自身が思うよりも、実はコントロール、改善できる可能性が十分にあるという事です。

※音声チックの為の呼吸法の効果は個々に異なり、全ての方に効果があるとは限りません、しかしながら当会のセッションを受けている多くの方に効果を発揮しています、ご自身で試してみたものの上手くできない方は当会のオンラインセッションをお申し込みください。