チックの行動療法体験談/改善事例『チックの衝動があっても呼吸法があればチックを抑えられるんだという自信がついた』千葉県10歳男の子

千葉県在住10歳の当事者の男の子M君(仮名)のお母様より、当会のチックへの認知行動療法のオンラインセッションを受けたご感想を頂きましたので投稿いたします。

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Q1. セッションを受けてみようと思った理由を教えて下さい。

A. 音声チックがあまりにも酷くてなんとかしたいと思っていたところSNSで音声チックが改善したという記事を拝見し、少しでも改善できればと思ってお願いしました。

Q2. セッションを受ける前のお子さんのチックの種類や状態(頻度や大きさ)をわかりやすく教えて下さい。

A.【音声チック】

・単純音声チック アッアッと声が出る

・複雑音声チック 汚言症、自分の言った言葉を繰り返す反復言語、他人の言った言葉を繰り返す反響言語

10段階中8ぐらい。3〜4秒ごとにチックが出ている状態。音量は普通の話し声を5としたら7ぐらい。

【運動チック】

・単純運動チック 口を歪める等症状はほぼ顔で動く場所が1〜2週間ごとに変わる。

10段階中2ぐらい。頻度はたまにみられる程度であまり目立たない。

Q3. セッション中のお子さんのチックの変化を教えて下さい。

A. 教えていただいた呼吸法を実践し、少しずつ衝動が下がりチックの症状が改善していった。セッション中は真面目に取り組んでくれていたと思う。

Q4. ホームワークを行っている時のお子さんの様子を教えて下さい。

A. 毎日コツコツと本当に頑張ってくれたと思う。やる気にムラがあったりする事もあったがチックが減ってきていることが実感出来たり、上手く出来るコツが掴めたりすると、自分から進んでホームワークをやってくれるようになった。

Q5. セッション開始4ヶ月後の現在のチックの状態を教えて下さい。

A. 音声チックはほとんど気にならない程度まで改善した。10段階中2ぐらい。音量は10段階中2ぐらい。小さく出るチックはまだ少しあるが、気になるチックは1時間で1〜2回ぐらい。

Q6. チックへの認知行動療法を受けた感想を教えて下さい。

A. 本当に受けて良かったと思うし、受けさせてもらえて感謝しかない。主なチックは音声チックだったので呼吸法を主に教えてもらったが、呼吸法にも多くのバリエーションがあり、谷さんが色々試して完成させたのだと思うと本当にすごいと思う。息子も自分に合った呼吸法を見つけ実践してくれている。

一番大変だったのがホームワークへのモチベーションを保ち続ける事。ご褒美システムや呼吸法が上手く出来ている時はいいが、頑張っていても上手く出来なかったり、こちらからの声かけが上手くいかず、やる気を無くしてしまうことがあった。

呼吸法が上手に出来るようになってくると、もっともっとと欲が出るし、上手く出来ないと、ちゃんと出来るようにしないとと焦ってしまい、子供に強く言ってしまったりする事があったが、谷さんから「CBITを常にするのは24時間マラソンをするのと同じようなもの」と伺って、本当に大変なことをやっているんだと思えたのが私の一番の心境の変化。

息子もチックの衝動があっても呼吸法があればチックを抑えられるんだという自信がついた。谷さんは、とても優しく話しやすい方。親身に話を聞いてもらったり、当事者の方にしかわからないような事も教えてもらって安心出来た。チックの人達のために、色々と勉強したり、治療法を試したり尽力されている姿は本当に素晴らしいと思う。

Q7. チック症・トゥレット症でお悩みのお母様は大変多くいらっしゃます、その様な方にお伝え出来る事がもしあれば、ご記載お願いいたします。

A. この先どうなるかという不安と、周りに同じような人がいない孤独感で、私も最悪な事ばかり考えたり、体調を崩したりしました。子供のチックが酷く出ている時はチックにばかり目がいってしまい、チックの事で頭がいっぱいになってしまうと思います。気にしないなんて難しいし、私も出来ません。

チックが軽快することが望ましいですが、もしチックが残っても今回セッションを受けたことよって、チックを自分でコントロールしていけると思えたので気持ちが少し楽になりました。大丈夫、仲間はいます。軽快する事を願って、お互い頑張りましょう。

Q.8 最後にトゥレット当事者会へのご要望やご提案がもしあれば是非教えて下さい。

A. 当事者の方の意見はとても参考になるし、励みになるので、トゥレットに対する情報をSNSでこれからも発信していってもらいたい。とてもお忙しいと思うので無理せず続けていってもらいたいと思う。

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M君(仮名)のお母様、ご丁寧にご回答頂き誠にありがとうございました。

M君の場合は、音声チックが主症状であり、お母様は特に汚言症について非常に悩まれておりました。

汚言症とは、暴言や卑猥な言葉などを意味もなく無意識に発してしまう、または言いたくなってしまう複雑音声チックの1つです。

瞬きチックや口元のチック、首や手にもチック症状があったのですが、それぞれのチックが軽症であったこと、そしてM君への負担を考慮し、先ずは音声チックをメインターゲットとしてセッションを開始いたしました。

CBITは他所で指導された事があったようですが、当時は上手く出来なかったとのこと、その点も踏まえセッション内容を考慮いたしました。

初めは呼吸法がなかなか上手く出来なくM君も辛かったと思います、しかしながら諦めずセッション及びホームワークをお母様と一生懸命頑張った結果、今では大きく音声チックが改善し汚言症はなくなりました、厳密には汚言症の前駆衝動(ムズムズ等)は少なからず(10段階中1くらい)あるようですが、呼吸法でコントロール出来ている為チックとしては出ていません。

セッション期間中細かな運動チックが出たり、無くなったりとありましたが、M君の状態を考慮しながら適宜対処法を指導していきました。

現在はフォローアップのセッションを月に一度行っており、再燃の防止、経過観察を行っています

先日のセッションでは、汚言症を含めた音声チック自体が一切出ることなく非常に落ち着いておりました、新学年になったりと様々な不安もあったと思いますが、M君お母様共に本当によく頑張られたと思います、このまま成長と共に更に軽快するよう頑張っていきましょう。