咳チックの対処法/改善事例

気温が下がり、湿度も低くなってくると風邪をひきやすくなる子もおられると思います。

チックのある子は、風邪をきっかけに、咳払いなどの咳チックの症状が発現してしまう場合もあります。

親御さんは、風邪だから咳をしているんだと、初めの頃は特に気にすることもないかと思いますが、、

「あれ?この子いつまで咳をしているんだろう?

風邪はとっくに治っているはずなのに…🤔」

気付けば冬も終わり春の足音が…

なんてご経験のある方も少なくないのでは?

この様なことは、咳チックに限らず、その他のチック症状においてもいえる事だと私は感じています。

チックのある子は、チックが起きやすい体質であり、チックが癖づきやすい体質であると私は考えています。

風邪などをきっかけに、喉の違和感、イガイガなどに意識が向きやすくなってしまい、風邪が治った後も、なんだか喉がイガイガムズムズする様な気がすると咳払いを続ける。その結果咳チックになってしまう。

このように風邪などチックの引き金のことをチックトリガーと言ったりもしています。

風邪など関係なく、喉や胸に前駆衝動が常にあり、咳払いのような音声チックが出てしまう方も当然いらっしゃいます。

ではこのような時、どうすればよいのか?

当会で、チック症状への行動療法・認知行動療法(ハビットリバーサル/CBIT・ERP・呼吸法)をお受けになられた方の改善事例もあわせてご紹介いたします。

当会のブログをお読みになり、セッションを受けずに、親子で実践し改善された方もおられます。

咳チックの対処法

咳チックは呼吸法を使って改善できる場合があります。

セッション【アウェアネストレーニング】

無意識で勝手に咳チックが出てしまっている場合はアウェアネストレーニング(気付きの練習)を行います。

咳チックが無意識ではなく意識的なものであればセッション②に進んでください。

アウェアネストレーニングのやり方は下記のリンクをご参考に行ってください↓↓↓

セッション【呼吸法のトレーニング】

咳チックは呼吸法を使って改善の為のトレーニングを行います。

音声チックの為の呼吸法(拮抗反応)の基本的な考え方は、音が出る方、つまりチックが出る時に息が出ていく方(口または鼻のどちらか)から息を吸い、その逆から息を吐きます。

上記は拮抗反応の考え方による吸気と呼吸の行い方ですが、これは必ずしも絶対ではなく、お子様がより咳チックを制御しやすい方法を選択するのが良いと私は考えています。

咳チックの前駆衝動(ムズムズ)を感じたら、咳チックを出さずに、この動作をもとに深くゆっくりと深呼吸(腹式呼吸)を行い、前駆衝動が無くなるまで出来るだけリラックスして呼吸を継続してください。

呼吸のカウントは、4秒前後で息を吸い、少し息を止めて、吸った時間の倍くらいの時間でゆっくり息を吐く呼吸。

呼吸のカウントもあくまで目安です、お子様がよりリラックスしやすいカウントで行いましょう。

初めは咳チックを出したいという強い衝動に駆られてしまうかもしれませんが、トレーニングを継続することにより徐々に咳チックが軽減される場合があります。

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【8歳男の子の改善事例】

当会のブログをお読み頂き、親子で咳チックの改善の為の呼吸法のトレーニングに励み、約1ヵ月で驚くほど軽減したとのこと、その後セッションをお受けになられ更に約1ヶ月後、咳チックは完全に無くなりました。

こちらのお子様は、息を吸った後に少し息を止めそして吐く深呼吸、トレーニングは当初少し大変そうだったとお母様は仰っておりましたが、お子様が一生懸命に、咳チックの前駆衝動を感じたら、呼吸法を使い咳チックを出さずにその衝動を沈めるトレーニングを積極的に行っていたとのこと。

この方法によるチックの改善には、お子様のトレーニングへのモチベーションも大切な要因の一つですね。

【10歳男の子の改善事例】

こちらの方も当会のブログをお読み頂き親子で呼吸法のトレーニングを行い、約1ヶ月で咳チックは無くなったとのこと。セッションを受ける頃には症状が落ち着いていた為経過観察となりました。

呼吸法のトレーニングは、特に咳チックが出やすい朝や食後を中心に行い、咳チックが出る度、呼吸法を行い連続してチックが出ないよう落ち着かせていたとのこと。

トレーニングにあたって大事なことは、第1に呼吸法(拮抗反応)で咳チックをブロックすること、次にその前駆衝動が鎮まるまで、咳チックを出さずに呼吸法を続けること。

トレーニングを日々継続することにより、「前駆衝動を感じたらチックを出す」という間違った習慣を少しずつ取り除き、「前駆衝動を感じたら呼吸法を行う」という新たな習慣を脳に学ばせ、身体に記憶させます。

これがチック症状に対するハビットリバーサルだと私は考えています。

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その他にも呼吸法を実践し、音声チックを軽減することができたなどのご報告を頂くことがあります。

呼吸法は基本的に「吸う」「吐く」「止める」の基本動作をもとに、それらのテクニック上手に使い、ゆっくりと深く深呼吸を行い、横隔膜をしっかりと上下させる呼吸(腹式呼吸)を行います。

呼吸を意識的に整えリラックスする、お子様からしたら慣れないことを行うので、最初は全く上手く行かないかもしれませんが、根気よく毎日、1日30分(30分連続して行ったり、15分×2回など小分けにすることも可)くらいを目安に練習し、チックを出さずに上手に呼吸法が出来るようになってきたら、徐々に時間を延ばす、またはよりチックが出やすい環境でトレーニングを行うなど工夫して行なってみてください。

呼吸法は全ての方に同様の効果があるとは限らず、改善度合いも様々です。それらを踏まえた上で、無理せずトレーニングを行ってください。