せきチックの治し方(CBIT : ハビットリバーサルトレーニングのやり方)
今回のTSブログでは、「せきチック」の治し方をご紹介します。正確には「治す」というよりも、「悪化してしまったチックを落ち着かせる方法」として理解してください。ここでは、自己対処の方法として、CBIT(シービット)の主要プログラム「ハビットリバーサルトレーニング(HRT)」の基本的な進め方をご説明します。
※トレーニングの効果には個人差があります、予めご承知おきください。
【ハビットリバーサルトレーニング基本STEP】
ハビットリバーサルトレーニングは、大きくわけて以下の3つのステップで構成されています。
❶ アウェアネストレーニング(気づきの練習)
❷ 拮抗反応を考える
❸ 拮抗反応トレーニング
【せきチックの場合】
STEP❶ アウェアネストレーニング
まずは、せきチックが出そうになる「前ぶれ」や「体の感覚」(←前駆衝動・チックシグナル)に気づく練習から始めます。たとえば、「のどがムズムズする」「痰が絡んでる感じ」「息を出したくなる感じ」などに気づけるようになることが目標です。
【やり方の例】
親子で向かい合って座り、お子さんがせきチックをしたくなった時に、手を挙げる練習をします。親御さんも、お子さんのせきチックが出たら素早く手を挙げます、親子でどちらが早く手を挙げられるかゲーム感覚で取り組んでみましょう。
トレーニングの目安:毎日15〜30分、1〜2週間続けて、8割くらいの確率で「出そうな感じ」に気づけるようになったら、STEP②へ。
STEP❷ 拮抗反応を考える
「拮抗反応」とは、チックが出そうになった時に、別の動きをしてチックを防ぐ行動のことです。せきチックの場合は呼吸でチックをブロックします。
【咳チックの拮抗反応の例(いずれか1つを選んでね)】
- 口から吸って鼻から吐く
- 口から吸って口から吐く
- 鼻から吸って鼻から吐く
- 鼻から吸って口から吐く
いずれも拮抗反応と合わせて「ゆっくり静かに」深呼吸をするのがポイントです。
咳が出そうになった時に、この呼吸を1分以上続けて、ムズムズや違和感がなくなる、または弱まれば成功です。
※どのパターンがやりやすいかは、本人の感覚に合わせて選びましょう。
STEP❸ 拮抗反応トレーニング
拮抗反応が身についたら、実生活の中でせきチックをブロックする練習に入ります。学校や家庭、公共の場など、日常生活の中での練習がとても大切です。
せきチックが出そうになったら常に拮抗反応をする習慣をつけましょう!一日に出てくるせきチックの7割以上を拮抗反応を使ってブロックできるようになると、せきチックはよくなっていきます。
しかし、いきなり常に拮抗反応を使う事ができない子もいるでしょう、そのような子は、毎日決まった時間練習をしましょう!
【練習の例】
• 朝・昼・晩にそれぞれ15分くらい取り組む
• 宿題やテレビの時間など「決まった時間」だけ集中して練習する
• せきチックが少ない場面(練習しやすい)で一日30分取り組んでみるetc.
【ワンポイントアドバイス】
チックは「衝動のままにやってしまう」と悪化する可能性が高いです。「チックが出そうな感じ」に気づき、「別の行動でチックをブロックする」力を身につけていきましょう。
チックをコントロールできるようになると、生活がとっても楽になりますよ。
ハビットリバーサルトレーニングは、すぐに効果が出るものではありませんが、毎日コツコツ取り組むことで、変化が出てきます。焦らず、楽しく続けることを心がけましょう!