自傷系複雑運動チック改善事例【東京都30代男性】

今回のクライエントは30代男性、難治性トゥレット症(トゥレット症候群)の為、DBS手術を受けられています。

DBS手術後数ヶ月をかけ電圧を調整し、様々なチック症状は改善して行ったのですが、昨年こめかみを殴打する自傷系チックが再発、当会に認知行動療法の依頼が入りました。

今回はハビットリバーサル(CBIT)の拮抗反応及び呼吸法を組み合わせ、チックの前駆衝動を鎮めるトレーニング、そして心理教育を行いました。

初回のセッションが功を奏し、こめかみを強打するチックは無くなりましたが、これまで激しく殴打していた為、目元に大きく腫れが出始めました

しかし、その後も自傷系チックを出す事が無かった為、数日後画像のように腫れは綺麗に引き、現在もその状態を維持する事が出来ています。

しかしながら、殴打していたこめかみの傷が改善すると共に、再び前駆衝動が増しターゲットのチックが再再発してきたとのこと

※前駆衝動とはチックが起こる前の違和感(ムズムズや何かしっくり来ない感じ)認知行動療法を行う為には、この前駆衝動を感じれるようになる事が一つのポイントです。

私自身もそうでしたが、難治性トゥレット症当事者の認知行動療法は一筋縄には行きません。

セッション開始以前は、1日50回以上もこめかみを強打する自傷系チックがあったとのこと

数回のセッションでターゲットにしているチックの頻度や強さは約8割減となり、初回セッションから約2ヶ月後、複数の拮抗反応や対処法を駆使し、1日平均4~5回小突く程度のチックのレベルまで更に改善し、2回目のセッション以降画像の様に顔が腫れることは無くなりました。

※拮抗反応とはチックとは相容れない動作の事をいい、不随意または半不随意で起こるチックに対し、意識的にチックを行えない動作を行う事をいいます。この拮抗反応とは、同様のチックに対し必ずしも全ての方が同じ拮抗反応が適応するわけではなく、個々に適した拮抗反応を選択する必要があります。

そして現在は自傷系チックを完全にゼロにする為、新たな方法で認知行動療法を行っており、既に数日こめかみを殴打するチックゼロの日が続いています。

セッションはまだ完了していませんが、一定の改善が見受けられた為投稿致しました、今後の経過は改めて投稿させていただきます。

チック・トゥレットの為の認知行動療法は、重症であればあるほど当事者の努力が必要になってきますが、それをサポートするのも療法士の役目、お子さんであれば親御さんの協力も必要となります。

チックの度合い種類によっては1週間程度で効果を発揮する場合もありますが、当事者の性格や併存するその他の疾患等により、その効果は個々に異なり、改善度合いも様々です

しかしながら、行動療法の理屈は至ってシンプル、一度その原理を学べば今後もチックの対処法として有効利用できるのではと思います。